小型バイク 原付バイク における レギュレーターレクチファイアの考察 2

90年代に多く使われた単相半波整流用のレギュレータレクチファイアの回路図が入手できましたので、もう少し考察を続けます。

 

仕事の内容は3つ 絡み合ってますけどね

1バッテリーの充電

2バッテリーの保護

3電圧の制御

以上を半導体素子を使って実現しています。

ジョグの場合二つのサイリスタが特徴的です。

 

一つずつ行きます。

1バッテリーの充電

整流がメイン。

交流を直流(ただし、脈流)化してバッテリー側に供給します。

ダイオードを使用し正プラス側の波だけを取り出しバッテリー側に流します。

半波整流といわれる所以です。 

これより古いタイプではこのレクチファイア機能のみ搭載されていました。

私のジョグではダイオードの代わりにサイリスタが2のバッテリーの保護と兼ねて使われています。

 

2バッテリーの保護

バッテリーの電圧を監視、充電を止めます。

バッテリーの電圧が設定値(満充電とみなす)に達するとサイリスタがオフになり供給をカットします。回路をオープンにしますのでホントにゼロになります。

サイリスタが再びオンになる電圧と上記のオフになる電圧には2Vほどの差があります。

バッテリーがいっぱいになるとそこそこ使用してバッテリーの電圧が下がるまで充電は再開されません。 電圧計を装備しているとこのことを忘れているのでちょっと焦ります。

この機能のおかげでシールド型バッテリーが使えるようになりました。

 

3電圧の制御

ジョグの場合、コイル長の短いつまり発生電圧の低い灯火側の交流電圧を監視しています。 

設定値でサイリスタがオンになりまだ交流のバッテリー供給側をGRDさせ発生電圧を降下させます。

このショートがみそ。負荷をほぼゼロにして電力値を思いっきり下げます。

負荷が減ったためと電流がそのまま循環するため発電機の出力は激減します。ちょっとした回生エネルギーみたいなものです。

これを超高速で実行できるのが半導体素子のすごいところ。

ジョグでも2000年台くらいのものだと灯火側出力の取り出しが変更になっていて、コイル長は全長を使うようになってきます。バッテリー供給側の正反対のことをやり負マイナス側の半波整流で灯火類を賄います。

これに電解コンデンサを入れて平滑化したレギュが採用されいるバイクでは灯火はLED化されています。

そう、このレギュを使えばちょっとした配線の変更だけでジュネレーターのはんだ付けなどせずにLEDは使用できるようになります。電力が足りるかどうかは別問題です。

 

私のバイクで壊れたのは3の交流電圧の制御というか抑制機能でした。

1の整流機能は生きていました。

バッテリーが瀕死だったため2の保護機能は働くに至りませんでした。生死不明です。

ですが、流れ続けていた結果より生きていたのだろうと思っています。

 

レギュのヒートシンクはなぜ必要

サイリスタやパワートランジスタの放熱のためです。これらの素子が使われた場合、素子にはほぼ全電流が通過します。ここでの抵抗分で発熱します。そして、そのままにしておくと素子が壊れます。

発熱は抵抗分と電流値がある各所で発生しています。カプラー等のコネクタの接続部、コイル自体も銅線でできていますが抵抗はありますので発熱します。コイルが途中で焼き切れる可能性よりはんだ付け部分や先の接続部が大発熱ポイントです。注意しましょう。

電力余剰分が熱として変換されるわけではありません。

素子抵抗分に電流が流れることにより仕方がなく発生した熱から素子を守るためのヒートシンクです。

じゃあ、電力余剰分はどうなっているんだ?

ショートされてコイル内を循環します。多少はここで熱になりますが、多くは回転する磁石の磁界変化に抵抗する力となり結果ジェネレーターを回りやすくします。つまり、走行分に使えるエネルギーが増えます。ほとんど感じられませんけどね。

エネルギー保存の法則です。

バイクで電気の力を変換する方法は、熱と運動エネルギーに大別されます。

大部分は運動エネルギーに還されるというわけです。

 

どうやって電圧を下げるのか?

ジョグの場合ですとバッテリーに行く線をGRDさせてしまいます。

ちょっと高性能なレギュだと更にサイリスタのゲートに送る信号電流をずらし位相をぶつけることまでします。

電圧を下げているというより負荷を下げ発生電力を下げて、結果電圧が下がっています。

反論でよくあるのが、発電機の性能はある回転数を超えると定格電力を発生し続けているという話し。

負荷がなければ電力なんて発生しません。回路にはそれなりに抵抗分があるので電力がゼロになんてなりませんが定格にはチョー余裕です。

エンジンの出力だってそうです。同じ回転数でも空ぶかしと坂道上っているんじゃ出力は違います。

負荷が一定であればレギュなんて必要ありません。勝手に飽和します。

ところが電球一つとっても球切れを起こすまで電力を要求し続けます。12V35Wの電球だから35Wだけ使うわけじゃありません。どんどん食べちゃいます。

すると発電機は定格まで問題なく発電します。電流はとっくに飽和しますので電圧だけが上がっていきます。

レギュの出番です。

ショート=抵抗ゼロ=負荷ゼロ 並列でライトやバッテリーやらの負荷があっても片道にバイパスができればほぼゼロですので発電しません。

でも、ヘッドライトは点きっぱなしだよ?

ジョグの場合、高電圧になった場合最短で1サイクル毎にショートon-offされています。もう十分明るくなっていることもあってちらついてはいるはずですがハロゲンランプでは気にもなりません。電圧もゼロになるわけではないので。

 

半波整流の場合、半波分を捨てている?

使ってないのでそのまま戻されます。エネルギーとして損失しているわけではありません。戻す途中で回路の抵抗分熱として戻ってこない分はあります。

 

レギュに優しくするには?

レギュを働かせない。かなりの低速で走行することになります。

バッテリーをきちんと管理しましょう。

各接点をきれいにして抵抗を減らす。

ジェネレーターを分解清掃。コイルをエアーで吹きましょう。

風がよくあたるところに移設する。端子が雨等に影響を受けにくいところで。

私は面倒くさいので壊れるならレギュにしてくれと思っています。

ステータが焼損なんて考えたくもないです。